特商法の住所は自宅以外OK?非公開・省略・バーチャルオフィスの3つの方法

公開日: 2026年7月11日|最終更新: 2026年7月16日|法令・各社仕様の確認日: 2026年7月11日

ネットショップやフリマアプリで利益を目的に反復継続して販売するなら、個人でも特定商取引法の表記(氏名・住所・電話番号など)が原則必要です。ただし自宅住所を公開せずに済む合法的な方法が3つあります。

①販売サイトの非公開機能(BASE・STORES・minne等で運営会社の住所が代わりに表示)、②表示の省略ルール③バーチャルオフィスの住所、です。

それぞれ守られる範囲と限界が違います。まず下の表で全体像をつかみ、販路別の選び方から順に解説します。

方法使える人費用守られる範囲残る穴
① プラットフォームの非公開機能個人(法人は対象外が多い)無料ショップ画面上の住所・電話番号氏名は表示・発送元は自宅・開示請求で開示
② 省略ルール独自ECを含む全事業者無料広告(ページ)上の住所・電話番号請求されたら自宅住所を開示することになる
③ バーチャルオフィス全事業者(販路の規約に注意)月額¥270〜公開する住所そのものを事業用住所にできる費用がかかる・販路によっては規約で不可(STORES)

なぜ住所の表示が必要なのか(法的な根拠)

根拠は特定商取引法の通信販売の広告表示義務です。ネットショップやフリマアプリでの販売は同法の「通信販売」に当たり、広告(ショップページ)に事業者の氏名(名称)・住所・電話番号などを表示することが求められます。営利の意思をもって反復継続して販売していれば、個人でも「販売業者」に該当するとされています。逆に、家庭の不用品をときどき売るだけであれば、通常は該当しません。

表示する住所・電話番号の中身については、消費者庁の通信販売広告Q&Aが基準を示しています。住所は「現に活動している住所」、電話番号は「確実に連絡が取れる番号」であること。つまり「連絡がつく実態」が本質で、だからこそ後述の省略ルールやバーチャルオフィス利用のような選択肢が用意されています(確認日: 2026年7月11日)。

まずは販路によって、どの方法が最短かが変わります。

Q1. BASE・STORES・minneなど、住所の非公開機能がある販路で売っていますか?
はい方法①(プラットフォームの非公開機能)が最短。追加費用なしで住所・電話番号を隠せます
Q2. Shopify・自作サイトなど、非公開機能のない独自ECですか?
はい方法②(省略ルール)で表示を省ける。住所ごと自宅以外にしたいなら方法③も併用
公開する住所そのものを自宅以外にしたい方法③(バーチャルオフィス)で事業用住所にする
非公開機能(①)と省略ルール(②)は「自宅を登録したうえで表示を隠す」方法、バーチャルオフィス(③)は「公開する住所そのものを事業用に変える」方法です。

方法① 販売プラットフォームの非公開機能を使う

BASE・STORES・minneなどの主要プラットフォームには、特商法表記の住所・電話番号を非公開にし、代わりにプラットフォーム運営会社の住所・電話番号を表示する機能があります。「消費者から請求があれば運営会社経由で遅滞なく開示する」体制を取ることで、画面上の表示を省略できる仕組みです。追加費用なしで使える、最初に検討すべき方法です。 なお、メルカリShopsは仕組みが異なり、運営者情報はショップ画面に常時表示されない代わりにログインユーザーの請求で開示されます(運営会社情報で代替する非公開設定は2025年3月に新規受付を終了・詳細記事)。

サービス非公開にできる人代わりに表示されるもの開示が必要になる場面
BASE詳細記事個人ショップのみ(法人不可)BASE株式会社の住所・連絡先返品の依頼や取引に関する問い合わせ・要望があった場合
STORES詳細記事個人・個人事業主のみSTORES株式会社の所在地・電話番号紛争解決などのため必要と判断された場合
メルカリShops詳細記事新規の非公開設定は2025年3月に受付終了—(運営者情報は画面に常時表示されず、請求した人にのみメールで開示される仕組み)ログイン中のユーザーから請求があった場合
minne詳細記事「販売業者」に当たる個人のみGMOペパボ株式会社の所在地・連絡先破損・不備など取引に関する問い合わせがあった場合

出典: BASEヘルプSTORESよくある質問メルカリShopsガイド(運営者情報の開示)minneヘルプ(いずれも2026年7月11日確認)。対象や条件は変わることがあるため、利用前に必ず最新のヘルプを確認してください。

ただし、この方法には共通の限界があります。

  • 氏名までは隠せない — 非公開機能の対象はいずれも住所・電話番号です。STORESは氏名(フルネーム)の登録が必須、minneも事業者名は非公開にできないと明記しています。
  • 発送元や納品書は自分の情報のまま — BASEは「発送元はショップオーナー自身の住所・電話番号を使用する」「納品書にはショップの住所が記載される」と明記。STORESも配送伝票の差出人欄・納品書には自身の情報を入力するよう求めており、匿名配送機能はありません。
  • 請求があれば自宅住所を開示することになる — 「画面に表示されない」だけで、「誰にも知られない」保証ではありません。
  • 法人は対象外 — 法人化すると非公開設定が使えなくなるサービスが多く、minneは法人切替時に自動で公開に戻ると明記しています。

なお、フリマアプリのメルカリ(個人間取引)は匿名配送で完結するため事情が異なります。こちらはメルカリで住所を知られたくない人向けの記事で解説しています。

方法② 表示の「省略ルール」を使う

Shopifyや自作サイトなど、非公開機能のない独自EC(Shopifyの特商法ページの作り方はこちら)でも使えるのがこの方法です。消費者庁の通信販売広告Q&Aは、「消費者からの請求により、広告表示事項を記載した書面や電子メールを遅滞なく提供する」旨を広告に表示し、実際に請求があれば遅滞なく提供できる措置を取っている場合、住所・電話番号などの表示を省略できるとしています。

実務としては、特商法表記のページに「住所・電話番号は請求があれば遅滞なく開示します」と明記し、問い合わせフォームやメールですぐ回答できる体制を整えておく形です。「遅滞なく」は、購入するかどうかを判断する前に十分な時間的余裕をもって提供されること、と説明されています。

注意したいのは、この方法も請求されたら自宅住所を教えることになる点です。表示の省略はできても、住所そのものを自宅以外にしたい場合は、次の方法③と組み合わせることになります。

方法③ バーチャルオフィスの住所を使う

方法①②が「自宅住所を登録したうえで表示を隠す」やり方なのに対し、方法③は公開する住所そのものを事業用の住所に変えるやり方です。消費者庁の通信販売広告Q&Aは、バーチャルオフィスの住所・電話番号の表示を条件つきで認めています。条件の核心は、それが「現に活動している住所」「確実に連絡が取れる番号」といえること — 具体的には、郵便物が転送などで確実に手元に届き、連絡がつく運用が保たれていることです。

プラットフォーム側の扱いは分かれています。メルカリShopsは「現に活動している住所」であればレンタルオフィス・バーチャルオフィスも運営者情報に入力できると公式に案内しており、専用のガイドページまであります。一方、STORESは「現に活動している住所ではないバーチャルオフィスの住所等」の登録を認めないとFAQに明記しています(いずれも2026年7月11日確認)。同じ法律の下でも販路ごとに規約が違うので、バーチャルオフィスを契約する前に、使う予定の販路の規約を確認するのが失敗しない順序です。

費用はかかりますが、開示請求への回答も事業用住所で完結し、氏名以外の個人情報を販売活動から切り離せるのがこの方法の本質的な違いです。

特商法表記に使えるバーチャルオフィスを料金順で見る

月額・法人登記・郵便転送の条件から、特商法表記OKの拠点を絞り込めます。

特商法表記に使えるバーチャルオフィスの実データ

当サイトは全国47都道府県・860拠点のバーチャルオフィスを収録しています。このうち特商法表記への利用をうたう拠点は116件(24都道府県)。月額の最安は¥270(住所利用のみのプランの例)、中央値は¥4,700です。あわせて専用の電話番号を提供する拠点は257件(最安¥990〜)あります。

「何が要るか」で最適は変わります。住所表記だけを安くならGMO、ネットショップで複数の屋号・電話もならNAWABARI、一等地で登記し電話・会議室までならレゾナンス——用途の違いで並べます(いずれも特商法表記への利用に対応する提携先。月額は対象プランの料金)。

GMOオフィスサポート

住所表記だけを、初期費用0円でとにかく安く用意したい人向け

GMOオフィスサポートは入会金・保証金が0円で、転送なしプランは住所表記に特化した最安クラスです。GMOグループの信頼と、銀行口座・会計・印鑑などの起業支援がそろいます。郵便を受け取るなら月1転送プラン以上を選びます。

メリット
  • 入会金・保証金0円で最安クラスの住所表記
  • 法人登記に対応(月1転送プラン以上)
注意点
  • 最安の転送なしプランは郵便の受取ができない(住所表記専用)
  • 専用の電話番号は提供していない(電話は自前か省略ルール)
転送なしプラン特商法表記・住所のみ(郵便受取なし)¥660/月登記不可
月1転送プラン住所+郵便を月1転送・法人登記可¥1,650/月登記可
初期費用
¥0
GMOオフィスサポートの料金を確認する

郵便を受け取るなら月1転送プラン以上を選んでください。

NAWABARI

ネットショップ運営で、屋号や電話番号もまとめて表記したい人向け

NAWABARIはネットショップ・物販に特化し、ネットショップ運営プランで特商法表記の住所・週1転送・郵便物の写真通知が使えます。屋号を10個まで追加料金なしで使え、留守番電話の共用番号も含むため、複数ショップの運営者に向きます。

メリット
  • 屋号を10個まで追加料金なしで住所利用できる
  • 共用の電話番号込み・郵便物の写真通知+GPS/盗聴器チェックが無料
注意点
  • 法人登記はビジネスプラン(月額が上がる)
  • 初期費用がかかり、専用の直接着信番号は別料金
ネットショップ運営プラン特商法表記・週1転送・屋号10・共用電話込み¥1,100/月登記不可
ビジネスプラン(年間契約)法人登記まで含める場合¥1,650/月登記可
初期費用
¥5,500
NAWABARIのネットショッププランを確認する

複数ショップを運営するなら屋号の追加無料が効きます。

レゾナンス

一等地で法人登記し、専用の電話番号・電話代行・会議室まで拡張したい人向け

レゾナンスは月990円〜の一等地住所に、法人登記・写真通知(全プラン無料)が含まれ、専用の転送電話や電話秘書代行、会議室まで足せます。住所から電話・来客対応まで1社でそろえたい人に向きます。

メリット
  • 一等地の住所で法人登記でき、郵便物の写真通知が全プラン無料
  • 専用の転送電話・電話秘書代行・会議室まで拡張できる
注意点
  • 最安の月990円コースは来店受取ができず1年払いが前提
  • 電話や秘書は月2,200円〜の追加費用がかかる
バーチャルオフィスコース(郵便物月1回転送)一等地・特商法表記・登記可¥990/月登記可
バーチャルオフィスコース(郵便物週1回転送)来店受取OK・週1転送¥1,650/月登記可
初期費用
¥5,500
レゾナンスのコース・電話オプションを確認する

電話番号まで載せるなら転送電話オプションの費用も確認してください。

※月額・登記・初期費用は各拠点ページのデータから自動表示(表示は各社の最安プランの目安)。

「何が要るか」で選ぶ — 用途段階別の最適

上の3社は代表例です。必要な機能が増えるほど最適は変わります。当サイト掲載の提携各社を用途段階で並べると次のとおりです(表示月額は各社の対象プランの目安・詳細は各拠点ページ)。

用途(段階)合いやすい提携先・プラン月額の目安補足
表記だけを最安で(郵便は後で)GMOオフィスサポート 転送なし¥660〜入会金0・GMO信頼。郵便は月1転送プラン以上
発送元・返品先まで外部化METSオフィス ネットショップ¥550〜発送元/返品を公式明示・即時転送(赤羽/兜町/新宿御苑)
ネットショップで複数屋号もNAWABARI ネットショップ運営¥1,100〜屋号10無料・写真/GPS通知・共用電話込み
最安で法人登記京都朱雀スタジオ / バーチャルオフィス1¥550〜 / ¥880〜朱雀=共用電話込み・vo1=一等地・法人口座開設保証
一等地で登記+電話・会議室レゾナンス バーチャルオフィスコース¥990〜写真通知全プラン無料・専用電話/秘書/会議室を追加可
専用の直接着信番号+登記を1社でユナイテッドオフィス テレボックス¥2,310〜専用03/050受信・宅建/自社物件・設立代行
郵便を頻繁に・実費を最小にワンストップビジネスセンター / Karigo¥5,280〜 / ¥5,500〜ワンストップ=100gまで送料無料(週1)・Karigo=転送手数料0・全国61店

選定の考え方: 用途に必要な機能(郵便受取・屋号・登記・専用電話・会議室)を満たす提携先から、費用・条件で選んでいます。条件を変えて探すなら特商法表記に対応した116拠点の一覧で料金順に、目的から探すでも比較できます。会議室・来客を多用する場合や、大手・全国網(Regus等)は要見積・別軸のため、絞込一覧で個別にご確認ください。

それでも残る3つの論点

3つの方法で守れること
  • ショップページ・広告上の住所の表示(①②③すべて)
  • 公開する住所を事業用にする(③バーチャルオフィス)
  • 電話番号の表示(①②、または③の専用番号オプション)
3つの方法でも残る穴
  • 発送元ラベル・納品書の住所(匿名配送や発送元対応の住所で別途対処)
  • 氏名(戸籍上の氏名か商業登記した商号に限られ、屋号のみは不可)
  • 確実に連絡が取れる電話番号の実態(番号を用意する必要は残る)
住所と電話番号は3つの方法で守れますが、発送元・氏名・電話番号の実態は残ります。次の3点を前提に販路や事業設計を考えてください。

1. 発送元住所。特商法表記を非公開にしても、宅配便の発送元ラベルや納品書は別問題です(方法①の限界で見たとおり、BASE・STORESとも自身の住所を使う前提です)。匿名配送のある販路を選ぶか、発送元としての利用に対応した住所サービスを使うかで対処します(発送元住所を自宅にしない方法の詳細記事)。

2. 氏名。表記する名前は戸籍上の氏名か、商業登記した商号に限られます(屋号・通称のみは不可)。住所と電話番号は本記事の3つの方法で守れますが、氏名は残る、という前提で販路や事業設計を考える必要があります。

3. 電話番号。「確実に連絡が取れる番号」が必要です。自宅や個人の携帯番号を出したくない場合は、省略ルールを使うか、バーチャルオフィスの専用番号オプション(当サイト収録では257拠点が対応・最安¥990〜)を使う方法があります(電話番号問題の詳細記事)。

よくある質問

屋号やショップ名だけを表記してもいいですか?
認められていません。個人事業主は戸籍上の氏名(または商業登記した商号)の表示が必要で、通称・屋号・サイト名のみの表記は不可とされています(消費者庁「通信販売広告Q&A」)。なお、法律上は氏名も「請求があれば遅滞なく開示する」省略措置の対象になり得ますが、主要プラットフォームの非公開機能は氏名を対象にしていません。
表記をしない・虚偽の住所を書くとどうなりますか?
特定商取引法の表示義務違反として行政処分などの対象になり得るほか、プラットフォームの利用停止につながることがあります(例: STORESは正しい登録が確認できない場合にサービスの全部または一部を停止する場合があると明記しています)。リスクを取って偽るのではなく、この記事の3つの方法のように合法的に非公開にする手段を選んでください。
賃貸マンションの自宅住所を書いても問題ありませんか?
特定商取引法上は「現に活動している住所」であれば賃貸住宅でも表記できます。ただし、賃貸借契約や管理規約で事業利用が制限されている場合があるため、表記とは別の問題として契約内容の確認をおすすめします。
バーチャルオフィスの住所だと購入者に不審がられませんか?
住所を検索するとバーチャルオフィスだと分かる場合はあります。ただ、特定商取引法の趣旨は「消費者が事業者と確実に連絡を取れること」にあり、郵便や問い合わせに確実に対応できていれば表記としての要件は満たせます(消費者庁「通信販売広告Q&A」)。信頼感が気になる場合は、会議室など来客対応のできる拠点を選ぶ考え方もあります。
インボイス登録すると住所が公表されてしまいますか?
個人事業主の場合、国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで公表されるのは氏名・登録番号・登録年月日などで、住所(主たる事務所の所在地)は本人が公表を申し出ない限り公表されません(同サイトFAQ・2026年7月11日確認)。

この記事について

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